現代は物が溢れているため、いざ物を捨てようとすると多大な費用と労力を必要とします。現在、岐阜市では普通ごみの収集を有料化するか否か検討がされています。岐阜市のごみ収集は、普通ごみ、プラスチック容器包装ごみ、ビン・カン・ペットボトルなどの資源ごみの回収がなされています。そのうちの普通ごみの処理が有料化されるということです。
普通ごみの有料化に賛成か反対か
さて、ごみの有料化問題、結論から言えば賛成です。というか、有料化するのは仕方がないと思うわけです。毎週2回、市内全域にわたって定期的にごみを収集するにはお金がかかる。さらにごみを焼却するにもその施設にお金がかかる。焼却灰の処理にもお金がかかる。ものを燃やしてダイオキシンが出ても困る。人口は減少し税収は減るし、インフレの進行でさらに費用はかかる。ごみ処理のための安定的な財源は必要でしょう。だから、仕方ないということです。有料化するにあたり、その費用はだいたい1リットルにつき1円の費用負担となるようになっているのだとか。とすると、ごみを排出する私たちとしてはごみを減量するしかない。岐阜市の思惑どおりになるわけです。
有料ごみ袋の自治会員への配布
有料化反対の人たちをことさら怒らせている問題に、ごみステーションを管理する自治会の会員に有料のゴミ袋を配布するというものがあります。これはちょっと考えないといけないと思います。
有料化するにあたり、岐阜市は「(案)ごみ処理有料化制度」というものを公表しています。住民説明会で配布しているものだそうです。ここに、「7.ごみ処理有料化の実施に向けた取り組み(3)ごみ処理有料化に伴う併用施策」の中で、「自治会に対して協力費を交付することなどを検討します。」とあります。有料のごみ袋を配ることが「協力費を交付することなど」に当たるのであれば、自治会員としては仕事の割に安すぎるし、協力費に加えて有料のごみ袋を配ることであれば、支援が重複して公金の支出としてどうかなと思います。ごみの搬出にあたり誰かが仕事をしているならその対価を払うべきとは思います。その対価は分かりやすいように1本化すべきです。
ごみステーション
そもそもごみステーションとは何でしょう。ごみに関しては「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」という法律が規律しています。不法投棄したら罰金が課せられると定めていたりする法律です。この法律の6条の2第1項に「市町村は、一般廃棄物処理計画に従つて、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処分(再生することを含む。···)しなければならない。」とあり、一方同じ6条の2第4項に「土地又は建物の占有者は、その土地又は建物内の一般廃棄物のうち、生活環境の保全上支障のない方法で容易に処分することができる一般廃棄物については、なるべく自ら処分するように努めるとともに、自ら処分しない一般廃棄物については、その一般廃棄物処理計画に従い当該一般廃棄物を適正に分別し、保管する等市町村が行う一般廃棄物の収集、運搬及び処分に協力しなければならない。」とあります。岐阜市はごみを集めて運搬しなければいけないんです。一方、私たち市民はそれに協力しなければいけないんです。だから、ごみ収集を効率化するために、隣近所同士でごみを1か所に集めてほしいという要望は分かる。けれど、その方法はどうやってやるのだろうか。ここが曖昧なんですよ。有料化するなら、どこにごみを出すのかもちゃんと整備してほしいですね。自治会に入っていない人のごみですが、自宅前に出せばいいと思うんですよ。だって、ごみステーションに出さなければいけないという法律もないですから。一応ですね、「岐阜市廃棄物の処理及び清掃に関する規則」というのがあって、4条の3第2項に「市民は、自ら処理できない一般廃棄物については、容器に収納し、所定の場所に持参する等市の行う収集に協力しなければならない。」とあるのです。このうち「所定の場所」とはどこでしょうね。これもはっきりしないので、必ずしもごみステーションに出さなければいけないとも言い切れません。「岐阜市が指定する場所」とは規定されていませんからね。「(案)ごみ処理有料化制度」では、「ごみステーションの設置基準や、利用方法などをルール化し、市民へ周知することを検討します。」とあるので、そこはぜひやってもらいたいですね。岐阜市民からお金を徴収する以上、自治会の加入の有無にかかわらずごみステーションを利用できないとおかしいですからね。これでも解決しない問題として、マンションに住む方の負担があるとは思っています。マンションには、ごみの集積場があって、これを自主管理してるところが多いです。分譲、賃貸にかかわらず共益費としてお金を出し合っています。さらに有料化の費用を負担するのはどうなんでしょうか。ごみの有料化として徴収されたお金は、ごみステーションの費用だけに充てられるものではないとは言えね。

自治会によるごみステーションの管理
「(案)ごみ処理有料化制度」には、「3.地域のごみ処理の課題(1)ごみステーションの管理運営」として、「一般的に、ごみステーションの管理運営における、自治会の役割として、」「設置申請や設備の購入、ごみ出しルール順守の呼びかけ、ごみ当番の調整や放置されたごみの対応、設備の改善があり、ごみステーション管理において非常に重要な役割を担っています。」とあります。そもそも、なぜ自治会がごみステーションの管理をするのでしょうか。すでに述べたように、各自が自宅前に出せばいいと思いませんか。実際、子どもの頃、ごみは自宅前に出してましたから。ごみ収集の効率化など、いろいろな問題があって今のごみステーションという形になったのかなとは思いますが、ごみステーションの管理を、必ずしも自治会がしなければならないわけではないと思います。自治会って、協力金とか補助金という名目で市からの仕事をいろいろ引き受けていますよね。地域の清掃とか、大きなイベントがあるときの交通整理とか。でも、そのお金も大した金額でもないし、実際に仕事をした人がお金をもらえるかというと、さらにピンハネしたお金しかもらえません。もしくはもらえないでしょう。だって、お金は自治会の会計に入るので、そこから仕事をした人にいくらか渡すかどうかは自治会が決めますから。そもそも、その協力金や補助金も、仕事の対価としては不十分ではないかと思うので、実質はボランディアです。ごみステーションの管理を自治会以外に委託するともっとお金がかかるでしょう。税金をさらに集めなければいけない。だから、自分たちで自主的にやるしかない。でも、自治会の加入率は、2024年4月時点で53.7パーセントなんだとか。自分たちでやっているというよりは、一部の人たちがやっているになってしまっていますね。自治会の加入率の低下は、自治会に魅力がないからでしょう。加入率の低下を改善するのは、自治会の改革をしないと難しいのではないでしょうか。
まとめ
というわけで、有料化には賛成です。ごみステーションの自治会による管理には、ごみ袋を配るのではなく、それなりのお金を出しましょう。